工場 建設 交通 航空機 これらに共通するキーワードは何でしょう? そう,「騒音」です。 騒音は辞書などで調べると,「日常生活の心の平静をかき乱す、不愉快で不必要に大きな音。」と定義されています。 したがって、図書館内での話し声や隣の部屋から聞こえてくる音楽、また消防車・救急車のサイレンなども、人によっては騒音と言えるでしょう。 とすれば、騒音は私たちにとって非常に身近な存在なのです。 |
![]() 高速道路はロードノイズなど,代表的な騒音源 左右の壁は防音壁と呼ばれ、道路外に出る騒音を受動的に減衰する役目をする。 |
ところで、あなたは騒音を小さくするにはどうしたらよいと考えますか?
耳栓をする。壁で音を遮る。吸音材を買ってくる。
どれも効果的ではあるでしょう。しかし、これだけでは騒音を完全に除去することはできません。
私たちは、これらとは全く別の方法で騒音を小さくする研究をしています。それは、
能動騒音制御(アクティブノイズコントロール:ANC)です。
これは、騒音に音をぶつけて消すという技術です。 |
それでは,騒音に音をぶつけて消すとは、どういうことでしょうか? |
みなさんは物理の授業で、「音」が「波」の一種であることを習ったと思います。 |
音が波であるということは、音は波と同じように干渉するのです。 |
ここで,波の干渉とは波どうしが重なり合って、振動を強めあったり弱めあったりする現象のことです。 |
ANCシステムでは,この現象をうまく利用し,下図に示すように騒音に対してそれと同振幅,逆位相となる音をぶつけて騒音を打ち消すのです。 |
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音波の干渉 2つのスピーカから同じ振動数の音を出すと、2つの音波が重なり合い、音が大きいところと、小さいところができる。 |
消音の原理 騒音にそれと逆位相の音をぶつけると、互いに打ち消し合い消音される。 |
意外にも、この技術はすでにいろいろなところへ応用されています。 |
例えば、自動車のマフラーや工場の排気ダクト、自動車内におけるエンジン音やロードノイズの低減。冷蔵庫が発する低音の除去など。 |
しかし、騒音を音で消すANCはまだまだ問題点が多く、さらなる研究が必要です。 |